「論説」 ジェネリック医薬品の利用を 財政改善で健康保険維持へ

更新日:2013年 3月 1日 (金)

 日本にあって中国など新興国にないものは、社会経済の厚みであり多様性だ。社会保障制度が機能しセーフティーネットが張られ、地域社会が安定していればこそ可能となった。人々が健康的に育ち多彩な人材が輩出され、多様な活動が行われ、社会経済に厚みをもたらしている。
 ところが、その根幹の社会保障制度が危うくなっている。このうち健康保険制度は財政状況が極めて厳しく、このままでは国民の健康を守ることができない。
 健康保険制のうち、サラリーマンの加入が最も多い「全国健康保険協会(協会けんぽ)」は財政悪化から保険料率が10%にまで引き上げられているが、それでも財政改善の見通しが立っていない。制度を維持するには、5年後の2017年度には11・2%へ引き上げる必要があるとされるが、この保険料率でも準備金は枯渇し、不測の事態に対応できない。インフルエンザが大流行すると医療費を確保できなくなる。
 健康保険制度の財政悪化の主な要因は、後期高齢者支援金の増加だが、高齢化により高齢者の医療費は今後も増加する。
 手をこまねいている訳にはいかない。勤労者が自らやれることをやり健康保険を守ろう。それには医療費の削減であり、その一環としてジェネリック医薬品の利用促進だ。ジェネリック医薬品は品質、安全性が実証されているうえ、3割以上なかには5割以上も安い。個人負担も軽くなるだけでなく、利用が増えれば健康保険の財政も改善する。
 ジェネリック医薬品の使用比率は数量ベースで、29・3%(昨年10月診療分、協会けんぽ集計)とまだ低い。東海各県は全国平均とほぼ同じ水準だが、最高の沖縄の42・5%から徳島の23・7%まで、地域による取り組みの差が大きい。愛知県内の市町村をみると、清須市や春日井市など尾張西部はよく利用されているが、新城市など東三河はあまり普及していない。
 もう少し詳しく見ると、沖縄の乳幼児(0~4歳)の利用率は57・3%と高いが、愛知県は23・6%で、「ジェネリック先進県」沖縄の半分以下の利用にすぎない。この違いは、子供医療費助成の違いも影響している。沖縄県那覇市の同助成は窓口で治療費をいったん支払い、申請後に払い戻される仕組みで、どの薬を使うか考える機会を与える。所得制限もある。ところが、名古屋市の場合は窓口負担が一切なく、母親か医師が社会意識が高くなければ、「ただなら」と高い薬を利用する。
 ジェネリック医薬品の利用を増やす決め手はない。地域を挙げて、職場を挙げての啓発活動の違いが利用率の差に表われている。

 

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