「黒田日銀」の課題 デフレギャップ解消急務

更新日:2013年 2月27日 (水)

 政府は次期日銀総裁に黒田東彦アジア開発銀行総裁、副総裁に岩田規久男学習院大教授と中曽宏日銀理事を起用する人事案を内定した。来月中旬には衆参本会議で採決する方針だが、民主党にも容認論があると伝えられ、「黒田日銀」は現実味を帯びてきた。
 黒田氏や岩田氏は、デフレ脱却のための大胆な金融緩和を訴えており、安倍晋三首相が推進する、金融緩和を柱とする経済政策「アベノミクス」には最適な布陣だ。黒田氏は財務官僚の時代から物価目標の導入を提唱してきた。国際金融人脈も豊富だ。
 また岩田氏は、日銀に市場への資金供給を大胆に増やし、緩やかなインフレを目指す「リフレ派」の代表格。リフレ政策に消極的だった日銀を批判していた。政策をめぐって日銀の理論家と論争を繰り広げたことでも知られている。その岩田氏が日銀の中枢に入ることで、今後の政策に内外の注目が集まっている。
 「アベノミクス」により、がぜん注目を浴びたリフレ派だが、これまでは主流派とはいえなかった。伝統的に物価上昇を好まない日銀だけでなく、経済学者の中には「デフレの原因は需給ギャップではなく、新興国の工業製品の価格下落を受けたもの。物価目標の設定は意味がない」と説く向きもある。
 しかし内閣府によると、日本経済全体の需給ギャップは昨年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値から推計すると、マイナス3・1%。金額に換算すると年間約兆円の需要不足となり、デフレ要因はいぜん大きい。この解消は急務だ。
 安倍首相の強力なリーダーシップのもと大きくリフレの方向に舵をとったが、理論的には正しいとしても、政策としての実効性を懸念する声もある。しかし日銀首脳人事を通じて、これだけ強力なメッセージが発せられたからには、その結果を注視せざるをえない。
 日銀の人事案が伝えられた25日には、市場は円安、株高となった。しかし26日はイタリア総選挙の結果を受けて、政局混乱→財政再建の滞り→欧州債務危機再燃の懸念から、一転して円高、株安になり、一筋縄ではいかないことがうかがわれた。
 市場の一時的な反応はともかく、早期のデフレ解消は、少子高齢化が進む日本にとって喫緊の課題だ。デフレが続けば、現役世代の賃金下落→税収減→社会福祉費用などの増大をまかなえず財政悪化、という悪循環が今後も続く。
 これを断ち切るには、物価目標の設定という、効果が定まらない「劇薬」といえども、処方してみる価値はあるのではないか。

 

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