論説=「製造業復活」へ取り組みを

更新日:2013年 2月11日 (月)

 日本の経済と雇用を支え、世界経済をけん引してきた日本の製造業が危機を迎えている。総務省が今月1日に発表した、昨年12月の製造業の就業者数は、前年同月と比べ35万人減少の998万人となり、1961年6月以来、51年ぶりに1千万人を割り込んだ。
 製造業の就業者数は、ピークだった1992年10月の1603万人から右肩下がりで推移し、昨年12月にはピーク時から比べ実に605万人も減った。就業者全体に占める製造業の割合も年々低下し、ピーク時から10ポイントを超える下げ幅の16%となった。
 製造業の就業者数が減少している背景には、人口減少に伴う労働人口の減少はもちろんだが、今後予想される少子高齢化による国内市場の縮小がある。
 企業は、急成長を遂げつつあるアジアや南米などに活路を求めて生産拠点の海外移転を急ピッチで進めており、その勢いは加速するばかりだ。さらに、昨年から団塊の世代が退職時期を迎えており、製造業の就業者数はこれからも減っていくことが予想される。
 不振にあえいでいた製造業の<雄>電機業界が、安倍政権の経済政策「アベノミクス」によって業績が急回復し始めているが、新興国に比べて国内生産は人件費が高いほか、燃料や原材料の輸入価格の上昇も予想されコスト高が懸念されるなど<副作用>が生じるだけに、先行する期待感だけで一概に喜んでばかりはいられない。
 国内の産業構造、雇用環境は、厳しい環境が続く製造業に代わってサービス産業が台頭するなど変化している。こうした現実を見据え、これまで製造業中心だった公共職業訓練の軸足を介護やサービス業などに移すべきだと指摘する声もあるほどだ。
 しかし、英国などの前例もあるだけに、早急に製造業の建て直しを図らなければいけない。これまで世界経済に<ジャパンブランド>を確立し、君臨してきた日本のモノづくり。技能や技術力、労働力の質の高さなどは世界が認めるところ。
 海外移転先のアジアでは人件費の上昇が顕著になってきており、将来、大きな問題になることは避けられそうにない。
 日本の経済と雇用を支えてきた製造業を取り巻く環境は厳しさが募るばかりだが、研究開発費や設備投資の減税が打ち出されるなど明るい兆しも少なからずある。
 経営者の中には「国内の空洞化はもはや避けられない」と言い切る人もいるが、是が非でも<製造業復活>に向け、国を挙げて取り組まなければいけない。

 

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