「論説」 米国シェールガスに期待 技術進歩で産業競争力向上

更新日:2012年 12月12日 (水)

 米国のシェールガス生産が急増している。米エネルギー情報局では、2040年にかけて国内の天然ガス生産の半分を占めると推計しており、国内の需要をまかなうばかりか、輸出も加速するとしている。
 シェールガスは、地下の岩盤内にある天然ガスの一種で、技術革新により採掘コストが下がり急速に開発が進んだ。大量生産により天然ガスの価格が下がり、米国産業の競争力復活にも寄与している。採掘には大量の水や化学物質を注入するため、地下水などの環境汚染が懸念されているが、米国政府は安全対策にも気を配っている。
 米国では現在、自由貿易協定(FTA)を結ぶ国以外への天然ガスの輸出を見合わせている。価格上昇を懸念しているためだが、米政府はこのほど、液化天然ガス(LNG)の輸出拡大が経済に利益をもたらすとの報告書をまとめた。米政府が輸出を後押ししてくれれば、原発の停止でLNGの輸入が急増している日本には朗報だ。
 米国のLNG価格は日本や欧州に比べはるかに安い。輸出需要が増えれば現地の価格が上昇することが予想されるが、輸送コストを含めても調達コストが下がれば、電力会社の経営にプラスになる。施設の整備に時間がかかるため、米国の許可が出ても輸入の実現はかなり先になりそうだが、光明が見えてきた。
 日本の電力事情は、原発の再稼働が思うにまかせず先行き予断を許さない。経済の成長には安定した電力の供給が欠かさない。長期的にエネルギー価格を安定させるためには、米国からのLNGの輸入が不可欠だ。
 エネルギー価格の安定は、産業の競争力維持にはどうしても必要。関西電力や九州電力などの値上げにより、地元の産業界は悲鳴をあげている。政府は、安い米国産LNGの輸入を実現させるため全力をあげるべきだ。
 米国の産業や技術のふところはやはり深い。豊富な資源の存在とともに、世界に先駆けてそれを安く採掘する技術を実用化させた。情報通信(IT)だけに止まらず、さまざまな分野で画期的な技術を生み出して実用化し、産業の競争力を高めるダイナミズムは正直、うらやましい。
 シェールガスでも、多くの民間企業が参入し、これまでの技術的な蓄積に加え自由競争により技術を切磋琢磨させた。もちろん国内の巨大なマーケットや、これまでの技術的な蓄積もあり、他国が容易にまねすることは難しいが、技術開発の重要性を改めて思い知らされた。

 

中部経済新聞の記事がスマホで読めます

2012年 12月12日の記事一覧

ニュースカレンダー

読み込み中...

過去の記事はこちらのページからご覧ください。

カテゴリー一覧

新聞の記事などについてのお問い合わせは、以下までお電話下さい。
中部経済新聞社 編集部
TEL : 052-561-5212

皆様の生の声をお聞かせ下さい。
記事に対する意見・ニュース提供

 

現在の位置:ホーム > ニュース > 2012年12月 > 12日 > 「論説」 米国シェールガスに期...