「論説」 中小企業振興も衆院選争点に セーフティーネットが存続の危機

更新日:2012年 12月 7日 (金)

 地域経済を支える中小・零細企業の経営が悪化しているが、衆院選で中小企業振興をどの政党も本腰を入れる姿勢がみられない。そればかりか、中小企業のセーフティーネットと言える制度が危うくなっているが、主要政党は関心を示していない。
 中小企業の設備投資のセーフティーネットと言える制度が「小規模設備資金制度」。市中の金融機関から融資を受けられないものの、経営に前向きな企業が利用してきた制度だが、国が廃止の方針を打ち出している。
 都道府県の関係団体が運営主体となり、運営団体に設備を購入してもらいリースで借り受ける「貸与」と、資金の半額を無利子で融資を受ける「貸付」からなる。従業員50人以下が対象で、設備投資の最後の受け皿となってきたが、実施しない都道府県があることを理由に来年度で廃止される見通し。都道府県によっては、焦げ付け発生などが影響し、取りやめたとみられる。
 しかし、愛知県では11年度に「貸与」が33件、「貸付」が78件の利用があった。利用状況は都道府県によって差があるが、地域経済を下支えする役割を果たしてきた。
 廃止の方針に対し、全国の中小企業者らが署名活動をこのほど実施。3500筆を集めて存続を求めたが、政府の反応は鈍い。
 一方、健康保険制度は中小企業で働く者のセーフティーネットだが、存続が危ぶまれている。中小企業事業者、従業員は全国健康保険協会に加入するが、同協会の保険料率は財政悪化から10%にのぼる。従業員は毎月高額の保険料を支払い、事業者の会社負担も重い。
 加えて、3年間の特例措置が今年度で切れる。特例措置の内容は国庫補助率を13%から16・4%へ引き上げ後期高齢者支援金の負担方式の見直し単年度収支の特例―の3点。このうち、後期高齢者支援金の負担金見直しとは、大手企業の健康保険組合と加入人数で単純に割っていた方式から、3分の2を加入者割、3分の1を総報酬割にして、中小企業側の負担を軽減したもの。
 こうした状況に対し、また全国健康保険協会は▽国庫補助率をさらに現状から20%への引き上げ▽高齢者医療の抜本的見直し―を求めてこのほど署名活動を展開し、全国から320万筆を集めた。11月6日には、国会周辺で全国の中小事業者らを動員し異例のデモ活動まで行った。
 しかし、残念なことに政府や政権政党の反応はほとんどない。これらの中小企業のセーフティーネットが存続の危機にある一方で、既存の仕組みで制度疲労も目につく。そうした制度、団体は政治力があるのが特徴だ。中小企業者の声は小さいが、耳を傾けてもらいたい。

 

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