政権枠組みを懸けた第46回衆院選がスタートした。原発政策のあり方や環太平洋連携協定(TPP)交渉参加の是非など、日本の進路を問う重要な選挙だ。
とはいっても12党という、かつてない多数の政党の分立で、それぞれの党の主張の違いが分かりにくい。原発、TPP、経済政策といった重要なテーマで与野党の主張が入り乱れており、有権者は複雑なパズルを解くような選択を強いられる。小選挙区制は2大政党に収斂され、政治の安定につながると言われていたが、現実は逆になっている。今の日本の混迷を象徴するようだ。
政権政党の民主党への逆風がどの程度か、自民党の巻き返しがどうなるのか、日本維新の会、日本未来の党など第三極勢力への「風」の行方は―など不確定要因が多く、16日の投開票に向けて予断を許さない戦いが続く。
野田佳彦首相(民主党代表)は「古い自民党政治に戻すのか」と第1党維持に全力を傾けるが、09年の総選挙時のような民主党への追い風はもはやない。福島原発事故処理の対応や、消費税の増税などに国民の審判がくだされようとしている。
自民党の安倍晋三総裁は「日本の強い経済を取り戻す」として、デフレから脱却して経済を成長させるため、金融緩和を含むあらゆる策を講じる構えだ。ただ先に表明した日銀法改正も視野に入れた大胆な手段は「禁じ手」と見る向きも多く、有権者の判断が注目される。
今回の総選挙では決定的な対立軸が見出しにくく、選挙後の政権の枠組みも不透明だ。単独で過半数を取ると確実に言い切れる党はなく、選挙後は連立含みとなる。それぞれの政党が「小異を捨てて大同につく」とばかり、選挙で有権者に約束した公約が反故にされるようでは、さらなる政治不信を招く。そんなことにならないよう、しっかり監視していかなければならない。
経済への影響も気になる。日本の景気はEU経済の後退、日中関係の悪化などで下ぶれ懸念が強まっている。株式市場では選挙後の金融緩和に期待する動きがあるが、ねじれ現象が生じて、物事がスームーズに決まらない恐れもある。米国ではいわゆる「財政の崖」問題による景気悪化が懸念されている。
これらの要因を常に念頭に置き、機動的な景気対策をとれるような強力な政権の実現を望む。選択肢が増えすぎて判断が難しい今回の選挙ではあるが、あきらめず日本をよりよい方向に導く選択を実現していきたい。
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