「論説」 ギリシャ支援は合意されたが 債務削減、実現可能なものに

更新日:2012年 11月28日 (水)

 懸案のギリシャ支援について、欧州連合(EU)ユーロ圏財務相会合は27日に新たな同国の債務削減目標について国際通貨基金(IMF)と合意。当面の危機は回避されたが、実現可能性をめぐって不安要因をはらんでいる。
 GDP比約170%に達するギリシャ政府の累積債務を、20年までに約400億ユーロ(約4兆2千億円)削減し、同124%まで圧縮する計画。債務削減の方法はギリシャ政府による国債買い戻しや、実施済み融資の利子引き下げなど。これにより、凍結されていたギリシャへの支援は再開され、437億ユーロが近く実施される見通しだ。
 ギリシャの財政危機は09年に表面化した。経済破綻を防止するため、今年3月にはEUとIMFによる1300億ユーロに上る第2次支援が決められたが、総選挙で財政緊縮派が過半数割れしたことから凍結されていた。
 再選挙を経て今月12日にギリシャ国会が13年の緊縮予算を可決したことから、支援受け入れの条件は整い、今回の財務相会合が注目されていた。
 当面の危機は回避されたとはいえ、手放しで喜べる状況にはない。緊縮策の影響でギリシャは5年来の景気後退が続き、ことし7月の失業率は25%を突破した。緊縮策に苦しむ国民のデモも頻発している。このような状態で、累積債務の縮小をどう実現するのか不安が残る。ギリシャ国民に一方的に負担を押し付ければ、さらなるデモの頻発や社会不安を招くのは必至だ。
 一方、支援国側にも事情はある。ドイツ、英国などの支援国と債務危機に苦しむギリシャなどの被支援国の立場の違いから、EUは予算規模で対立するなど1枚岩とはいえない。
 そんな中、ギリシャ経済の再生のメドが立たない状態での債務削減計画は、経済のスパイラル的な縮小を招く恐れがある。これまでも相次いで支援策が合意されたが、ギリシャ政局の混乱や景気の悪化で、前提となる財政再建計画は、修正を余儀なくされてきた。今回も債務削減計画が達成されない場合にどうするのか見通しは立っていない。支援国側の「援助疲れ」も気になる。
 しかし、欧州債務危機の震源地となっているギリシャを立て直さない限り、危機は今後も繰り返されるだろう。それがEUの経済、ひいては世界経済に悪影響を及ぼす。厳しい道だがギリシャ国民の生活と、債務削減が両立する方策をEUの叡智を傾けて見つけるほかないだろう。それが他の国が同様な状態に陥った時の対策モデルになる。

 

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