「論説」 日本のGDPマイナス、景気後退へ 体力つけ「財政の崖」避けよ

更新日:2012年 11月14日 (水)

 わが国の7~9月の国内総生産(GDP)が実質で4~6月比0・9%減、年率換算で3・5%減となったことは、予想されていたとはいえ、ショッキングな出来事だ。世界経済の減速による輸出低迷が響き、日本経済が景気後退局面に入ったことは誰の目にも明らか。日中関係の悪化による輸出減もあり、早急な景気対策が実施されないと深刻な事態に陥る懸念が出てきた。
 7~9月は輸出だけでなく、エコカー補助金終了に伴う自動車販売の減少などで個人消費も不振。内外需ともにマイナスという最悪の形になった。10月も日中関係の悪化による輸出減が続いており、先行きに予断を許さない。
 さらに米国大統領選挙が終了し、いわゆる「財政の崖」問題がクローズアップされ、内外の株価の足を引っ張っている。これは富裕層を対象にした減税が年末で終了するのに加え、年明けから自動的な歳出削減が重なり、財政の急速な伸縮を招くというもの。回避に向けて米国議会の与野党で協議される見通しだが、世界経済の新たなリスク要因になっている。
 このような中、わが国の企業も先行き慎重な味方が広がっている。4~9月期の決算が好調だった自動車業界も、13年3月期の見通しは一転して慎重になっている。米国での自動車販売の好調が支えとなっているが、「財政の崖」問題が重くのしかかっている。
 「財政の崖」はわが国にとっても人ごとではない。97年に消費税が3%から5%に引き上げられた時も、アジア通貨危機と重なって景気が大幅に悪化し、金融危機を招いた。税収の急減と大幅な景気対策により、財政再建の目論見がもろくも崩れ去った苦い記憶がある。
 国の政策が景気に大きな影響を与えた例として、近年ではテレビ放送の地上デジタル化があげられる。昨年7月の完全地上デジタル化前には、薄型テレビの駆け込み需要が発生したものの、その後は需要の先食いが響いて、極端な売れ行き不振と価格の下落を招いた。テレビメーカーは相次いで経営不振に陥り、今も深刻な状態にある。
 今後も消費税の増税がタイムスケジュールに上っているほか、さまざまな税制改革が議論される見通しだ。わが国の財政状況を考えれば当然だが、個々には当たり前と思える政策が実施時期を考えないと「合成の誤謬」となり、景気に想定外のインパクトを及ぼす。今の日本経済に「財政の崖」を乗り切れるほどの体力があるのだろうか。政策担当者は熟慮を重ねてほしい。

 

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