「論説」 グローバリズムと地域経済 いま一度メリットの検証を

更新日:2012年 10月23日 (火)

 世界的にグローバリズムが進展する中、地域経済はその波に翻弄されようとしている。ソニーの子会社、ソニーイーエムシーエスの美濃加茂市の工場「美濃加茂サイト」の閉鎖決定は、地元経済に衝撃を与える出来事だ。岐阜県の各自治体は繊維などの地場産業が縮小する中、新規の工場誘致を積極的に行っていた。美濃加茂市はその「優等生」と目され、地域の住民だけでなく多くの外国人が雇用されていたが、今となってはそれが裏目に出た形だ
 同市の人口は約5万5千人だが、外国人の数は昨年4月1日現在で約4800人。電機や機械などの工場が進出するにつれその数を増やしていた。しかし、最近の電機業界の不況で、ピークに比べると1千人余減った。
 美濃加茂サイトの閉鎖は、中国などに比べ割高な人件費に加え、生産品目の従来型携帯電話がスマートフォン(多機能携帯電話)へのシフトで需要が急減していたという事情がある。ソニーの今年3月期の連結純損益は過去最大の赤字を記録しており、グローバルで生産を効率化する必要に迫られていた。
 しかし、同サイトは地域を代表する工場として地元経済に深く組み込まれている。従業員の雇用ばかりでなく、部品などを納入している企業や、地域の小売店など影響するところは大きい。
 過去数十年にわたり経済がグローバル化する中、企業は競って人件費などのコストが安い国に生産拠点を移し、国内経済の空洞化が進行していた。企業が生き残るための止むをえない選択だったといえよう。ただ、海外に生産拠点を移した結果、進出国の政情不安や対日感情の悪化などのリスクも抱え込むことになった。国内の空洞化という犠牲を払ってでもグローバル化を追求したメリットが国民経済的に本当にあったのか、検証が必要ではないだろうか。
 また、企業にとっても地域とのつながりは不可欠なはずだ。「企業城下町」とまではいかなくても、地域のイベントに参加するなどの活動は今でも行われている。その企業に勤めることが誇りであったり、地域のイメージアップになるなど「良い関係」がつちかわれていた。グローバリズムの名のもとに、そんなウエットな部分が断ち切られるのは余りにも惜しい。

 

中部経済新聞の記事がスマホで読めます

2012年 10月23日の記事一覧

ニュースカレンダー

読み込み中...

過去の記事はこちらのページからご覧ください。

カテゴリー一覧

新聞の記事などについてのお問い合わせは、以下までお電話下さい。
中部経済新聞社 編集部
TEL : 052-561-5212

皆様の生の声をお聞かせ下さい。
記事に対する意見・ニュース提供

 

現在の位置:ホーム > ニュース > 2012年10月 > 23日 > 「論説」 グローバリズムと地域...