「論説」尖閣諸島めぐる日中対立 関係悪化は世界経済のリスク

更新日:2012年 10月16日 (火)

沖縄県・尖閣諸島の国有化をめぐる日本と中国の対立は世界経済のリスク要因となってきたようだ。東京で開かれた国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会に中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁が出席を見送り、日中経済関係の冷え込みは長期化する懸念が出てきた。
 中国では尖閣問題の余波で日本車の販売が激減し、9月の新車販売台数は8カ月ぶりに前年割れとなった。日本車の販売悪化は、部品を提供する中国企業にも悪影響を及ぼす。減速しつつある中国の景気にもマイナス要因だ。日中貿易の総額も減少傾向で、GDP(国内総生産)世界2位と3位の両国の関係悪化は、不透明感を増しつつある世界経済の重石になりかねない。
 関係が冷却しても日中間の人の交流は断ち切ることは不可能だ。昨年末、日本で外国人登録を行っている中国国籍の人は67万人余。国別で見ると韓国・朝鮮を抑えてトップで、2000年末の約2倍。これだけの数の人が日本で働いたり勉強したりしている。中小企業では基幹的な従業員として活躍し、子弟を日本の大学で学ばせるなど、社会に深く根付いている人が多い。
 これらの人にとって、日中の関係悪化は憂慮する事態だ。すでに旅行者の大幅減など影響は広がっており、長引けば関連する職場で雇用問題が発生することが懸念される。
 中国は米国を抜いて日本にとって最大の貿易相手国。金融面でも急速に関係を深めていた矢先で、日本が中国国債を購入することも昨年の首脳会談で合意している。世界経済は、スペインの国債格付け引き下げなど、欧州を中心に揺れ動いている。日中が成長のエンジンと目されていた時期もあり、両国の関係悪化にはIMFのラガルド専務理事が懸念を表明している。世界経済の新たなリスクとなることは、どちらの国にとっても好ましくない。
 領土問題でわが国が譲ることはないが、さまざまな分野で積み重ねてきた両国の関係が、断ち切られるリスクを冒すことは避けたい。日中間の2千年の交流の歴史を背景に「小異を捨てて大同につく」ことが求められるのではないか。

 

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