「論説」回復傾向の雇用情勢 ミスマッチ、最小限に止めて

更新日:2012年 10月 9日 (火)

 日中関係の悪化による経済への影響が懸念されるが、足元の雇用状況は比較的堅調に推移している。8月の有効求人倍率は全国が0・83倍、愛知県が1・15倍。愛知は6、7月に記録した1・20倍からはやや下がったが、全国は08年のリーマン・ショック後では最高水準にある。
 愛知県の有効求人倍率は自動車業界の減産などから、09年には0・55倍に落ち込んでいたが、生産が回復するにつれ全国を上回るペースで上昇し、昨年12月には1倍を超えた。その後も改善傾向が続いていたが、このところやや足踏みとなっている。
 愛知県の8月の新規求人を見ると製造業の落ち込みが目立つ半面、サービスや介護・福祉関係は大きく増えている。高齢化社会を迎え、慢性的な人手不足が続くこれらの業界が雇用の下支えになっている。新卒学生の就職先の受け皿としても存在感を高めている。半面、待遇面の改善など取り組むべき課題も多く、雇用のミスマッチが生じている。
 県内の有効求人倍率は地域差がいぜん大きい。名古屋地域が1・44倍と突出し、自動車産業を擁する西三河地域が1・02倍とそれに次ぐ。半面、地場産業が衰退した尾張地域は0・88倍に止まっている。陶磁器産業が衰退し、新規の工場進出が頭打ちになった瀬戸・尾張旭地域はさらにその水準を下回っている。
 今後のリスク要因として懸念されるのが中国。トヨタの大幅な減産、日本に来訪する中国人観光客の大幅減少などによる雇用への悪影響が心配だ。ホテルの稼働率や、中国人観光客の土産物需要に多くを依存する瀬戸のノベルティー産業など、影響する範囲は思いのほか大きい。落ち着いたかに見えるEU情勢も、いつ何時問題が再燃するかわからない。
 したがって、雇用の相対的安定期は長くは続かないだろう。製造業の悪化をサービス、医療・福祉関係が支える構造は、女性の就業が進む半面、男性が期待する製造業関連の職が減り、雇用のミスマッチを拡大する懸念もある。産業構造の変革はいつの時代にも生じるが、それに対応するための転換策をできる限り行政が支援し、雇用のミスマッチを最小限に止めてほしい。

 

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