「論説」ロシアがWTO加盟 中部の自動車産業にチャンス

更新日:2012年 8月31日 (金)

 ロシアが世界貿易機関(WTO)に加盟した。自動車(新車)に対する関税は現在の30%から今後7年間で15%に下がる。中部の自動車産業にはチャンスだ。
 9月上旬にアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が開催されるウラジオストクは、街中に日本車があふれる。そのほとんどが日本から輸入した中古車だが、人気は抜群だ。ウラジオストクを起点に、ロシアの内陸部にも日本車の流通が広がっている。日本車の「壊れにくさ」が絶大な信頼につながっている。
 なぜそこまで壊れにくいことが重要視されるのか。極寒期のウラジオストクは氷点下25度、内陸部のイルクーツクは氷点下40度を下回るという過酷な気象条件に根拠がある。自動車の故障は命に直結しかねない。シベリア鉄道が車内暖房として、電気による発熱ではなく、いまだに石炭を燃やしているのは、停電が命に直結するからだ。
 ウラジオストクで、トヨタ自動車は年内にも「ランドクルーザープラド」の委託生産を開始する。年1万台強と規模は大きくないが、意義としては大きな1歩である。三井物産とロシアの自動車メーカー・ソラーズの合弁工場を活用する。当面は田原工場(田原市)から基幹部品を運び出し、現地で組み立てるという。
 トヨタ系の主要サプライヤーの間でロシア進出の動きはまだ目立っていないが、今後は必要になってくるだろう。なぜならば、輸出拡大に続き現地生産も本格的になることが予想されるからだ。
 まず、ウラジオストクの実例から、ロシアは日本車を受け入れる気風がある。そして新車の輸入が拡大すれば日本車の知名度が全土で高まり、日本車の需要が喚起される。そして現地自動車メーカーの競争力が相対的に落ち、ロシア政府が自国産業維持のため現地生産の拡大を求めてくるだろうからだ。2001年にWTOに加盟した中国が良い例といえる。
 過酷な気象条件、劣悪な道路事情になればなるほど、日本車の愚直に作りこんだ品質が生きてくる。そんなに遠くない将来、年10万台を生産する標準規模の完成車工場が日本の自動車メーカーにより運営されるかもしれない。年10万台の完成車工場が二つ三つあれば、サプライヤーが工場進出しても採算が合う。
 WTO加盟により、ロシアは世界経済の土俵に正式に立った。外資を呼び込むため、不透明な行政手続きや汚職などを少しずつ改善していくだろう。ロシアの国政の動きをにらみつつ、サプライヤーはチャンスを確実にものにしたい。

 

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