「論説」採用活動の抜本的改革を 学生の負担大、企業メリットも疑問

更新日:2012年 7月 6日 (金)

 来春の大学卒業予定者の採用活動が続いており、大手企業から中堅、中小企業が本番になっている。今回は例年より2カ月遅れて昨年12月から採用活動が始まったが、本質的な問題は何ら改善されていない。現在の採用の仕方で企業が有能な人材を選べているとは思えないうえ、企業と学生の出会いが十分になされていない。さらに、社会に出るに当たり必要な過程とは言え、学生にあまりに厳し過ぎる就職活動を強いている。
 企業は通常、次のように採用活動を行う。入社希望の学生に対し、就職専門サイトやホームページを通じて「エントリー」(登録)をしてもらう。このエントリーの受け付けが10月スタートが今回から12月へ2カ月間遅くなった。そして、2月、3月ごろから、各社独自の履歴書である「エントリーシート」をネット経由か郵送で配布。「エントリーシート」では「学生時代に最も取り組んだこと」などについて記入を求める。ここから先は企業によって多少異なるが、「SPI」(数学など基礎学力を調べるテスト)を自宅パソコンや所定の会場で受験させたり、「エントリーシート」による書類選考をした後で、「SPI」を受けてもらう。
 ここまでで大半の学生を振るい落とす。続いて、グループディスカッション、第2次面接、最終面接があり、ようやく「内々定」にたどりつく。学生1人当たり「エントリーシート」を20社程度は提出するのだから、かなりの時間と精神力がいる。また、多くの企業が各段階の合格者だけに連絡するので、学生98は自分が合格か不合格か分らず、心理的な圧迫は相当なものだ。
 これだけの負担を学生に強いながら、本当に有効な採用活動ができているのか。企業各社に採用のポイントを聞くと、「人物」を重視するという。何度も手順を踏んだ結果、結局、元気がよく無難な人物が選ばれる。内向的な文学青年タイプは敬遠される。選ぶ基準は案外単純だ。どの企業も求める人物像は共通しており、内定を取る学生は何社も取るが、全く取れない学生も多い。
 また、今回は2カ月遅く始まったが、相変わらず学生の学習の妨げになっている。むしろ春休みから新学期に面接などの時期がずれ込み、学ぶ機会を奪っている。
 今の採用の仕方が企業、学生の双方にメリットがあるとは思えない。内定を取れない学生に言いたい。「内定を取れないのは、あなたの個性とその企業の相性が合わないためで、あなたに能力がないわけではない」。新卒者重視の見直し、通年採用の導入など、採用活動の抜本的な改革が求められる。

 

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