「論説」円高対策 高付加価値づくりから まず国内で努力を

更新日:2012年 5月18日 (金)

 経済産業省がこのほど取りまとめた「第41回海外事業活動基本調査」をみると、事業所の海外移転が一段と進行している。昨年7月時点の調査で2011年度の動向を把握したものだが、製造業の海外生産比率は18・1%になり、なかでも輸送機械は4割に達している。企業の海外投資が増えており、海外生産比率が統計上からも加速している。
 海外投資の狙いは、円高に加え、現地の需要を取り込むこと。特に、アジア地区でこの傾向が顕著であり、同地区の現地生産法人の現地販売比率が増加している。
 大企業に加え、中小も海外進出を考える状況になった。中小企業経営者から「円高で苦しい。現地の需要も取り込みたいので、どこに進出したらいいのか」と、筆者も相談を受けることがあるので、多くの経営者が焦っているのだろう。
 しかし、ここは落ち着いて考えた方がよい。中小企業の海外進出ラッシュは過去にもあった。1990年代前半、陶磁器など地場産業の中小企メーカーが円高対策のため、アジア各地に相次いで進出。ところが、その多くが現在、現地で稼働していない。現地の提携先とのトラブルに巻き込まれるなどして海外投資が失敗し、その損失で国内事業も撤退したケースもある。
 そもそも、現在のレートは円の過剰評価であり、いずれ適正レートに修正されていくと考えられる。
 現地の制度も整い、当時よりは中小企業の進出が容易になった。日本企業向けの工業団地が整備されるなど、サポート体制も整っている。それでも、国内投資よりはリスクが大きい。数年前に中国進出し、早々と撤退した企業も実際にある。
 円高対策が海外進出の主目的であるならば、まず国内でやれることをもう一度検討するべきだ。中小企業の円高対策は、製品の付加価値を上げることからまず取り組もう。コスト削減による価格競争は終りのない競争になる。
 製品の付加価値向上は、日本国内の分厚い蓄積を利用することが有効だ。1社の力には限界がある。地域内の他社との連携、優秀な人材を活用するなど、「地域資源」を活用しながら、製品づくりをしていきたい。特に、中部地域は多様な製造業が活動しており、地域の力を借りながら、企業が競争力を高めやすい地域だ。また、中部をそうした魅力ある地域に育成していかなければならない。

 

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