ベース車「86」登場

更新日:2012年 2月24日 (金)

 1年半ほど前、この欄でインド・タタ自動車の低価格車「ナノ」とトヨタ自動車の代表的なミニバン「ヴォクシー」を引き合いに、社外品を取り付けることを前提にしたベース車を国内市場に投入したらどうだろう、と発言した。若者に未完成品を自らの手で完成させる喜びを味わってほしい、という趣旨だった。
 その発言に起因するわけではないと思うが、トヨタ自動車が発表した小型スポーツ車「86」に、まさしくベース車なるものがラインアップされた。価格は200万円を下回り、若者でも十分、手が届く。
 論説を書く立場として、自分の考え方が現実路線に沿っていたことは素直に嬉しいし、これが若者の自動車離れにブレーキをかけることを本気で期待している。トヨタのショールームで「86」の実車を見た。
 名古屋モーターショーで外観は見ていたが、実際に運転席に座ったのは初めてだ。日常的に乗っているミニバンはごく普通の仕様。それに比べると、シートのホールド感にまずドキドキする。シートの位置を合わせてシートベルトを締め、バックミラーを調整。ハンドルとシフトノブに手をかけた。
 「視点が低い」というのが第一感。ポジションが地面に近い、と表現した方が適切かもしれない。カタログを見ると、「車高を1ミリでも低く」と開発コンセプトにあった。なるほど。これなら走行安定性が高く、地面をはうように走る楽しさが味わえる。
 30年も前の話で恐縮だが、筑波サーキットをバイクで走った経験がある。バイクはコーナーで傾く。自然と目が地面に近くなる。錯覚かもしれないが「サーキットは路面のアスファルトが粗い」というドキドキした感触を得た。顔も傾いているためダンロップブリッジが「三日月のように見える」と感激したものだ。
 「86」に戻る。ベース車はエアコンやステレオを含めた内外装からホイールまで、ほとんどが自分の好みの部品に取り替えることを前提としている。もちろん自慢のエンジンやミッションなどのパワートレインをそのままに。自己中心的には「欲しく(購入したく)なる仕様」だ。
 ディーラーはそれぞれの店舗に改造を支援する「エリア86」を整備。中には「86」の専門店舗を新設する動きもある。若者支援体勢は整いつつある。
 トヨタは事実上自前のサーキット場を持つ。「86」に限定したサーキット走行会などを企画してはどうだろう。グリップ力の向上につながるアスファルトの粗さを実感した時、若者は「86」の虜(とりこ)になるかもしれない。

 

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