
「世界一の生産性を誇る自動車ディーラーを目指す」と語る小栗社長
ネッツトヨタ名古屋の新社長に、創業家出身の小栗成男氏が就任した。若いころ2日に1台のペースで車を売りまくるトップ営業マンだった小栗氏は、国内新車市場が縮小する時代にあっても「車屋は車を売るのが本来の仕事」と新車販売にこだわる姿勢を貫く。売れる組織づくりに向けて、新車やアフターサービス、保険といった部門ごとの分業化に着手する考え。小栗氏に成長へのシナリオを聞いた。
―就任の抱負から。
「プロフェッショナルな集団にしたい。新車や中古車、企画など各部門で、個人それぞれがプロとなり、プロ集団となる。新車は売れないと言われているが、市場は減っても会社や個人という単位でみれば、まだまだ伸びる。改善の余地もある。世界一の生産性を誇る自動車ディーラーを目指す。営業スタッフ1人あたりの月間販売台数を現在の3倍の15台に引き上げたい」
―生産性を高めるための手立ては。
「キーワードは分業だ。営業スタッフはサービスや保険、クレーム対応など多くの仕事を抱え、車を売りにくくなっている。ややもすればバリューチェーンという考え方に甘えていないか。営業スタッフが本来の新車を売ることに専念できる体制にする。新車、サービス、保険、携帯電話、クレーム対応など部門ごとに役割分担して専門員を配置する。新車販売から逃げてはいけない。われわれは車屋なんだから」
―分業体制のハードルは高い。
「分業化を成功させるために、給与や人事評価制度を変える。プロ化が進めば進むほど評価と報酬を明確にする必要がある。従業員1人ひとりのライフプランをたてる専門部署をつくり、目的意識も明確化する。環境づくりをすれば、モチベーションは高まる。また、CS(顧客満足)専門部隊をつくり、お客様の要望にきめ細かく応えられるようにする」
―新車を売るためのコツは。
「人間力に尽きる。いかにお客様に好かれ、信頼されるか。お客様の魂の中に入り込んで、お客様の立場で物事を考えること。『商人道』を忘れてはいけない。たとえば、お客様を迎えるために店舗前で打ち水するのに、ホースを使ってはいけない。手でやらなきゃ商人じゃない」