
「事業の多角展開はリスク分散の意味合いがある」と話す小林社長
東海4県でKDDI(au)の専売店を展開するクロップスの新社長に、4月1日付で小林正明氏が就任した。携帯電話市場はスマートフォン(多機能携帯電話)の登場、普及により、新たな局面を迎えている。どう舵取りしていくのか。小林社長に抱負や成長戦略について聞いた。
―東日本大震災の影響は。
「消費マインドが冷え込むのではと危惧していたが、4月の実績を見ると大きな影響は感じていない」
―今期の携帯電話の販売戦略は。
「2012年7月、総務省が主導する周波数再編の一環で、一部の旧型携帯電話の使用ができなくなる。昨年、早めの機種変更に優遇措置を設け、チラシやDMなどで周知したところ、反応がよかった。10年度の機種変更台数は、09年度比21・6%増の9万8千台となった。11年度も引き続き、新規に加え、機種変更需要を取り込みたい。また、夏商戦に向けて発売するKDDIの夏モデルは、スマートフォンが6機種も登場する。使い方をお客様に提案できるように、社員研修に力を入れている」
―携帯販売店の出店戦略は。
「お客様にゆったりしてもらえる販売店を目指し、店舗の大型化と利便性の高い立地への移転を進めている。駐車場の拡大やキッズコーナーの設置、ガラス張りの店舗デザインなど、従来の販売店のイメージとは異なる店舗を増やしていきたい。現在、店舗数は40店舗。10年度は、新規出店が1店舗、移転が3店舗だった。今後も移転を含め、年間3店舗ほど出店していきたい」
―目標は。
「売上高200億円、経常利益10億円が一つの節目と考えている。10年度の売上高は169億円、経常利益は7億8千万円だった。12年度には売上高200億円を達成したい」
―具体的な戦略は。
「M&A(企業の合併・買収)が有効だと考えている。昨年10月、輸入文具の卸売などを手がけるスガタ(本社東京都)を買収した。常に、M&Aの情報収集を行っており、規模や質の高さだけでなく、理念を共有できる企業を探している」
「また、これまで国内市場のみを対象としてきたが、中国や台湾に仕入先を持つスガタを子会社化したことで、海外展開の道が開けた。将来的には、文具事業で、東南アジア諸国の仕入先や販路を開拓していきたい」