論説 中国の人民元切り上げ問題

更新日:2010年 3月16日 (火)

 中国経済の発展に伴い、人民元の相場水準が安すぎるのではないかとの批判が出てきた。米国のオバマ大統領は今月11日に元切り上げを求めている。
 人民元相場は、中国の経済力増大を反映して、上昇基調にはあったが、08年夏以降は輸出企業支援のため1ドル=6・8元台でほぼ固定している。その後のリーマン・ショックで中国の輸出自体は大幅に減少したが、世界的な不況で中国の安価な輸入品との競争を強いられる、先進国の製造業を中心に不満の声が上がっている。
 中国の温家宝首相は、14日に閉幕した第11期全国人民代表大会(全人代)後の記者会見で、人民元の相場について「過小評価されておらず、今後も合理的でバランスの取れた水準で、相場の安定を保つ」と語った。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁も「(元相場の固定は)金融危機下の特殊な政策」としているが、危機のピークが過ぎ去り、世界経済の回復が始まっている現在では、必ずしも説得力のある説明とはいえない。
 わが国も、70年代の石油危機をいち早く乗り越え、「世界の成長エンジン」と目された時期がある。今の中国とかぶるが、その時期に大幅な円高を余儀なくされたことは記憶に新しい。
 中国は現在、莫大な米国債を保有しており、元高=ドル相場の下落によって大きな損失を招く。また多くの中国企業の経営は根本的には好転しておらず、元高による輸出企業の経営悪化-失業者の増大に耐えられないといった事情もあろう。わが国の経済が円高により体質を強化したことをもって、中国に一方的な元高を押し付けるのは好ましくない。
 為替相場は、多くの場合政治的な要因もからむ。中米関係が台湾への武器売却問題などでギクシャクしているなか、米国の要求に安易に屈したくないとの中国政府の思惑もあり一筋縄ではいかないのだろう。
 しかし、中国が今以上の発展を遂げ、世界市場でのプレゼンスが大きくなるにつれ、為替の自由化は避けては通れない問題だ。多くの先進国がその過程を経ており「長い目でみて中国経済にとってもプラス」(野田佳彦財務副大臣)との認識を共有してほしい。

 

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