2011年春に大学を卒業する学生の就職戦線が早くも佳境に入ってきた。企業の説明会が各所で開かれ、名古屋の都心でもリクルートスーツに身を包んだ学生の姿が見られるようになった。毎年、おなじみの光景だが、2010年の新卒採用が大幅に減り、「就職氷河期」に逆戻りしたあとだけに、学生の動きは例年に無く早いようだ。
中部地区の大手企業も、年4月入社の新卒採用を発表し出したが、景気の先行きが不透明だけに慎重な姿勢が目立つ。トヨタの採用計画は計1200人で、09年度実績1376人からは大幅な減少。大規模なリコール(無料の回収・修理)のコスト負担に加え、販売減などの影響が出ており、業務職の採用を見送るなど姿勢は固い。
デンソー、豊田自動織機も、来年の定期採用計画を、10年入社見込み比でそれぞれ7・9%減の700人、8・2%減の270人と抑制する意向だ。技術職は今年並みだが事務職の減少率が大きく、文系の大学生にとっては厳しい情勢だ。
1月の完全失業率(季節調整値)が4・9%に改善し、雇用情勢は最悪期を脱しつつあるが、正社員の求人が低迷し、有効求人倍率が0・5倍を下回っている現状では、雇用が回復しているとはいえない。新卒で就職に失敗した学生が正社員に就くのは大変で、しわ寄せが若年層に及んでいる。
学生の就職人気企業ランキングにも異変が見られる。毎日コミュニケーションズの発表によると、年春卒業予定の学生は、味の素やカゴメ、明治製菓など食品企業に目を向ける傾向にある。半面、ソニーやトヨタといった人気企業はランクを下げた。不況に強い食品業界というイメージが学生に浸透しているようだ。
中堅・中小企業の来年の採用計画はまだ不透明だが、トヨタの慎重姿勢がどう響くか心配だ。それでも2月の工作機械受注が前年同月比約3・2倍になり1月の中部経済産業局管内の鉱工業生産指数が前月比2・5%増となるなど明るさも出てきた。1年前のように不況一色ムードではなくなっており、企業の採用マインドの復活が強く望まれる。