「論説」自動車の急加速問題 「不具合」解明を最優先に

更新日:2010年 3月 5日 (金)

トヨタ自動車の「意図しない急加速問題」が自動車業界全体の問題であることが、次第に浮かび上がってきた。米国の大規模リコールをめぐる議会公聴会では不意の急加速と電子制御装置の関係が追及されたが、これまでのところ、その原因は明らかになっていない。2日の米上院の公聴会でも、イノウエ議員が、自動車の安全性問題が「トヨタだけでなく、業界全体の問題だ」と強調し、米下院のアイサ議員は3日、ラフード米運輸長官に、安全対策に業界全体で取り組ませるよう要請した。トヨタだけをやり玉に挙げる一時の空気は変わってきた。
 国内でも、消費者から急加速に対する苦情は出ているが、トヨタだけが特に多いわけではない。トヨタもこの問題を外部の専門家で構成される独立機関にゆだねることを表明しており、今後の調査結果が待たれる。「意図しない加速」にドライバーの操作ミスがよるものが、どれぐらい含まれるのかも判然としない。極めて微妙な問題だけに、メーカーも声高には言いにくいとは思うが、真実が知りたい。
 電子制御装置の問題は、外部からうかがい知ることはできず、専門家の判断を待つほかない。ただ、トヨタの2月の米国販売が減少したように、消費者の信頼をどう取り戻すかは難しい問題だ。国内では2月の「プリウス」販売は堅調だったが、リコール問題を受けて受注に陰りがあると言われ、今後の見通しは不透明だ。米メディア報道などによる、一時の「トヨタたたき」が下火になっても、消費者の漠然とした不安感を拭い去ることは容易ではないが、メーカーはこれからも誠実に対応するしか道はないだろう。
 米国では、急加速の原因を解明した研究について、賞金を調査会社まで現れた。トヨタ社だけでなくほぼ全メーカーで急加速の苦情が報告されている中で苦肉の策だ。自動車の電子制御が進むにつれて、我々がまだ知らない不具合の原因が、どこかに潜んでいるのかも知れない。もはや1メーカーの責任を問う段階ではなく、国と業界ぐるみで、もし不具合があれば原因を突き止めてほしい。
 我々は知らないことが多くある。それを肝に銘じて、安易なバッシングに走ることなく、事実の解明を最優先に取り組むべきだ。

 

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