「論説」リコール問題とトヨタ決算 トップの真摯な「言葉」必要

更新日:2010年 2月 5日 (金)

 アクセルペダルのリコール問題のさ中、トヨタの2010年3月期第3四半期決算と今期見通しが発表された。原価低減や内外の政策効果による販売台数増で、今期の営業損益予想はこれまでの3500億円の赤字から200億円の赤字に上方修正された。環境が厳しい中、これだけの業績回復になったことは、同社の底力を物語るものといえよう。
 昨年10~12月の3カ月間の営業利益は1891億円と前年同期の3606億円の赤字から大きく好転した。この間の為替レートが1ドル=90円と前年同期に比べ6円の円高になったことを考えると、実質の収益改善は大きかった。
 同社は今3月期までに、一連のリコールによる費用を約千億円、販売低下による影響を700億円~800億円見込んでおり、これがなければ悠々と営業黒字を計上できたことになる。リコールの影響はやはり大きい。また今期の予想数字に、新たに判明した新型「プリウス」のブレーキ問題の影響は入っていない。「プリウス」については、ブレーキが一時利かないとの顧客の指摘に対し、改善措置を検討しており、事態の経過によっては数字が変動する可能性を残している。
 全体的には、同社の緊急収益改善努力が功を奏し リコール問題による影響を想定の範囲内に食い止めているようにみえる。ただ、今後の情勢は予断を許さない。米国ではいぜん「トヨタ・バッシング」と呼べるような動きが続いている。これまでのトヨタの品質に対する信頼感が「裏切られた」と見る向きも多く、消費者の信頼を取り戻すのは並大抵のことではないだろう。今回は、通常のリコールよりも影響が大きいとトヨタ側もみており、特に米国で販売不振が長期化する懸念もある。
 トヨタは過去、さまざまな危機に遭遇したが、その度にトップの強力なリーダーシップで乗り切ってきた。今回の問題も初動対応の遅れで影響が広がったが、創業の原点に立ち返り顧客目線で解決を図ってほしい。それにはトップの真摯な「言葉」が何よりも必要なのではないか。

 

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