成長を続ける中国の自動車市場だが、各社が能力の増強に走っている結果、自動車生産能力が過剰になる恐れがでてきた。中国紙によると、2012年末までに同国の生産能力は2500万台に達し、500万台の余剰を抱える可能性があるという。
09年の中国の新車販売台数は1364万台と前年比46%増加した。中国のGDP成長率は09年に前年比8・7%伸び、今年も堅調な伸びが予想される。所得の増加によって、今後も販売が増えるとの見方から、各メーカーは設備投資を急ピッチに進めている。中国国家情報センターの予想では、同国の新車販売は年10~15%のペースで増加し、12年の販売台数は2千万台前後とみている。それでも計算上は500万台の余剰が発生する。
わが国でも、高度成長時代には新車販売台数は毎年2けたの伸びを示し、巨額な設備投資がなされたが、市場はすぐに追いついてきた。当時の通産省が過剰設備を心配し、完成車メーカーの設備投資に「待った」をかけたこともあったが、1973年の第一次石油危機後の不況までは過剰設備問題は表面化しなかった。
今の中国市場は、高度成長期のわが国のように「投資が投資を呼ぶ」状況にある。同国の業界首脳も、「中国のような急速に成長する市場では、30%程度の余剰生産能力を持つのは正常だ」と楽観的な見方を示し、それほど心配する必要はないのかもしれない。
昨今の自動車市場は、ガソリン車からハイブリッド車、電気自動車へと技術革新の真っ只中にある。特に電気自動車の性能を決定づけるリチウムイオン電池の開発には、世界中の企業がしのぎを削っている。このような技術革新が早い時期には、投資判断を誤ると、巨額の設備投資が陳腐化する可能性もある。その意味において、秩序ある投資が今こそ必要な時はないのかも知れない。中国当局の手綱さばきが注目される。
また、増産投資には品質面のチェックを怠れないのは言うまでもない。機械的なトラブルからコンピューター制御のトラブルなど、システム立ち上げ時にはさまざまな障害が起こりうる。それらを全て乗り越えなければ消費者の信頼を売ることはできない。