「太陽電池用ガラス基板などで、環境問題に貢献してきたい」と石村社長
世界的な自動車需要の低迷は、関連産業にも大きな影響を及ぼしている。ガラス最大手の旭硝子は、愛知工場(愛知県武豊町)で自動車用ガラスを生産しているが、当面の見通しは厳しい。石村和彦社長に現状や環境への取り組みなどについて聞いた。
―減産が続いているが、底は見えてきたか。
「自動車は全世界で影響を受けている。在庫調整が進み、生産は戻っているものの、以前のレベルに戻ったわけではない。前年比で60%とか70%のレベルにしか戻らないのではないか。そういう意味では、まだまだ厳しい」
―エコカー減免税などで、国内販売は少し明るさが見えている。
「プラスになればと期待はしているが、需要の先取りも心配。それと、日本だけでなく、やはり米国が戻ってこないと難しい。米国は建築用ガラスも含めて厳しい。今後、米国の人たちが何年で車を乗り換えるようになるか、が気がかりだ」
―ガラス生産は大量のエネルギーを使う。愛知工場も含めて今後の環境対応は。
「ひとつは、製造プロセス自体がエネルギー多消費型なので、それをいかにセーブするかということ。例えば、NEDO(新エネルギー・産業技術開発総合機構)からの支援もいただきながら『気中溶解』に取り組んでいるが、これはプラズマ状の火炎により、ガラス原料を一瞬にして溶かす技術で、トータルのエネルギー効率が格段に向上する。まだテストプラント段階で、2012年に小型の窯で実証試験をやる予定。愛知工場のような大きな窯には、まだハードルがあるが、プロセスを踏んで取り組んでいきたい」
「もうひとつは、世の中の人たちがエネルギーをセーブできるエコ商品を作ること。すでに多く使われているし、今後さらに普及させたいのは断熱の窓ガラス。エコガラスと言っているが、2枚のガラスの間に断熱層を設け、かつそのガラスに熱線を反射するようなコーティングを施すことによって、非常にエネルギーロスの少ないガラスができる」
―どれくらいの効果があるのか。
「現在の日本の戸建て住宅だけでもエコガラスに変更すると、年1700万トンの炭酸ガスが削減できる。日本の住宅で使用するエネルギーから出る量が年1億7千万トンだから、実にその10%に相当する。また、愛知工場でも作っているが、太陽電池用のガラス基板。光を表面で反射してしまったら意味がないので、ガラスに特殊な技術を付加することによって光を全部取り込んで効率を上げる反射防止コーティングの付いたガラスだ。そういうものを供給していくのが、2つ目の大きな課題だと思っている」