豊田章男新体制がスタートしてから発表された、トヨタの5月の国内自動車販売は厳しいものだった。台数は前年同月比23・1%減の8万2394台。減少率は4月の32・3%減から縮小したが、いぜん落ち込み幅は大きい。新型「プリウス」の効果は限定的だった。
一方、「インサイト」が好調のホンダは国内販売が6・1%減と2カ月ぶりに減ったものの、比較的堅調だった。ただハイブリッド車を持たない三菱自動車、マツダは20~30%減と軒並み不調で明暗を分けた。
5月にトヨタが新型「プリウス」を投入したのは18日。6月からはこれがフルに寄与してくるが、5月の状況を見ると、他の車種から顧客がプリウスに流れている面もあり、全体の販売が急回復するのは難しそうだ。
在庫調整の進展で4月に比べれば生産は急回復。エコカー減税も追い風で中部地区の生産回復に寄与した。それでもトヨタの5月の国内生産は前年比41・9%減。1ー4月の生産調整がいかに厳しかったか、改めて思い知った。
自動車関係の企業が集積する中部地区の中小製造業では、自動車量産品のごく一部に改善の動きは出てきたが、価格的には厳しくまだ底が見えないとの認識を持つところが多い(愛知中小企業家同友会の5月景況調査から)。相場価格を大きく下回る赤字受注に走るところもあり、国の雇用調整助成制度に救われているところが多いというのが、実情のようだ。
そのため、プリウスの好調が他の車種になかなか及ばない現状は歯がゆい。5月のトヨタの国内市場(軽自動車除く)に占めるシェアは46・1%と前月より0・6ポイント低下し、ホンダ車の追撃を許している感も。
豊田章男新社長は就任会見で「ドン底からのスタート」とし、これまでの急拡大路線の反省から「今後はお客様第一で、市場に受け入れられる商品を軸に経営を行う」と話した。
市場に今、受け入れられている車は、まさにエコカー。市場の変化に即応できる体制を構築することが、販売回復のカギではないか。
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