論説 GM「破綻」の波紋

更新日:2009年 5月29日 (金)

 米ゼネラル・モーターズ(GM)をめぐる情勢が急を告げている。債務の株式化による債務圧縮が失敗したことにより、破綻回避は難しい情勢となった。米政府が定めた再建計画見直し期限が六月一日に迫り、連邦破産法一一条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請するとの見方が強まっている。
 製造業では歴史上過去に例のない大型破綻で、米国政府は今後のGMの経営再建に深くかかわっていく方針と伝えられており、事実上の国有化とみる向きもある。
 事ここに至っては、事業を継続しながら、法的管理下での秩序ある再建を目指すしかないだろう。再建に失敗すれば膨大な失業者が出て、米国の社会を根底から脅かす懸念がある。昨年秋にリーマン・ブラザーズが破綻したことにより、どれだけの衝撃を世界に与え「百年に一度の経済危機」につながったかを考えれば、製造業版の「リーマン・ショック」を繰り返すわけにはいかない。
 わが国の企業にも影響は広がる。帝国データバンクはGMに製品や部品を卸している日本企業は百二社にのぼるとしている。そのうち自動車・部品メーカーが半数を占め、この地区ではデンソーも含まれる。仮に未収金や売掛金などを取りはぐれれば、大幅減産下にあるこれらの業界の負担はさらに増える。
 一九二九年の世界大恐慌さえ乗り切ったGMの現状は、まさに隔世の感がある。当時の自動車産業は先端産業だったが、今では世界の多くの新興国に自動車産業が勃興し、インドのタタ自動車などは先進国では考えられない安値で乗用車を提供している。
 繊維や家庭電化製品、鉄鋼産業などで起こったことが自動車産業でも起こりつつあることを、ひしひしと感じる。先進国で生き残るにはハイブリッドカーや電気自動車など、途上国では真似のできない製品をつくるしかないだろう。GMがこれらの分野で出遅れたのは、やはり致命的だった。
 いずれにしても、米国政府がGMの経営に深くかかわっていくのは間違いなさそうだ。GMは二十七日に国内の従業員九万人を対象に、給与を三日前倒しで払うなど、不安を取り除くのに躍起だ。事態がどう推移するにしても、影響を最小限に食い止めるため、何とかソフトランディングしてほしい。

 

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