トヨタの新型「プリウス」が好調なスタートを切り、中部の製造業の期待を集めている。市場のニーズにマッチし予約受注は八万台を超え、販売好調は確実視されていた。旧型の倍の世界八十カ国の国・地域で販売するとあって、輸出への寄与も期待される。
これまで、減産に次ぐ減産を続けていただけに、売れ筋の車種が登場したことによる心理的効果は大きい。トヨタの四月の受注は二台に一台が新型「プリウス」。十八日の発売以降、登録車の動きに期待が持てる。政府のエコカー減税の後押しもあり、五月以降の新車販売には「目に見える」変化が現れてきそうだ。
そんな中、政府が発表した一―三月期の実質GDP(国内総生産)は、前期比年率15・2%減と戦後最大の落ち込みになった。しかし事前に予想されていただけに、株式市場などへのショックは少なかった。民間の各調査機関によると、四―六月期の成長率は久しぶりにプラス転換すると予想されており、市場の反応は意外なほど冷静だった。
在庫調整が急速に進み最悪期を脱したという「安堵感」もある。海外に比べて国内企業の生産調整が素早く進展し、経済の落ち込みは大きかったものの、回復速度も速いとの見方も出てきた。七―九月期以降は、政府の経済対策が効果を現してくるという見通しも、株価の下支え要因となっている。新型「プリウス」の受注好調は、そんな景気回復期待の「シンボル」にされているようだ。
一方、「プリウス」の恩恵にあずかれる所と、あずかれない所では格差が開きそうだ。自動車関連企業が集中する三河や北関東地区でも、地域全体が潤うわけではなく、雇用状況は当面、厳しさが続こう。現在の自動車全体の生産水準は、新規の雇用者を増やすにはまだ力不足。雇用調整助成金などのお陰で、失業者の増加が抑えられている面もある。四月の月例経済報告によると、米国経済の先行きが厳しく、景気後退が長期化するリスクもあるという。
当面、本格的な回復にはほど遠いとしても、「まだら模様」になるだけで、これまでとは大きな変化だ。新型「プリウス」の呼び水効果への期待は、やはり大きい。
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