「お客様とのきずなを深めたい」と語る小栗副社長
国内新車市場が混迷の度を深めている。日本自動車工業会(自工会)によると、2009年度の国内新車販売台数(軽自動車を含む)は08年度見込み比8%減の429万7600台となる見通しだ。1977年度以来、32年ぶりの低水準となる。消費者のクルマ離れをいかに販売の現場で食い止めるのか。名古屋トヨペットの小栗一朗副社長に、新車市場の見通しや経営方針について聞いた。
―今月から低公害車への減税措置が始まったが、〇九年度の新車市場の見通しは。
「ここ数カ月は際限なく沈んできたが、ようやく底に足がついた。水面はまだまだ上だけれども、『動きの兆し』を感じる。お客様が車を買ってもいいな、と思い始めている。ただ、受注のボリューム自体は低い。三月は前年同月に比べ三割減ぐらいにとどまっている」
「環境対応車がキーになる。動きの兆しが出てきた背景には、ホンダのハイブリッド車(HV)『インサイト』効果もあると思う。HVはガソリン車より環境にやさしく燃費もいい。トヨタも新型『プリウス』を五月に発売する。個人だけでなく、環境イメージや維持費の有利さを訴えて法人需要も取り込んでいく」
―市場が収縮するなか、販売の現場には何が必要か。
「お客様とのきずなをより深めることだ。市場は確かに厳しいが、いつかは買い替えてもらえる。昨夏、営業マン五百五十人に個別の電話番号を手配し、電話がかかってくるとパソコンに顧客情報が立ち上がるシステムを導入した。お客様とのつながりを大事にする方策の一つだ。買った後の対応も今までより大事になる。お客様がメンテナンスを安心して任せられるようにしたい」
「ディーラーの収益環境は悪化している。とくにトヨペット店は厳しい。〇九年三月期は経常黒字を見込んでいるが、今後は売り方や働き方、経費など会社の構造自体を整理する必要がある」
―プリウスはこれまでトヨタ店とトヨペット店で扱ってきた経緯があるが、新型は全四チャネルで併売される。ディーラー業界への影響は。
「そういう時代だ。ディーラーにとっては専売のほうがいいけれど、それにぶら下がって生きていると、つまずいたときに大変だ。専売車に左右されない基盤を作らないといけない。流通の世界では同じ商品を売ってしのぎを削っている。ディーラーはこれまで恵まれてきた。全チャネルで併売されるなら、そこでどうしていくのかを考えないといけない」