未曾有の不況下にある自動車業界で唯一好調な分野がハイブリッド車。ホンダの「インサイト」がブームになり、トヨタも新型「プリウス」を五月に投入予定。環境に良く低燃費の両者にかける期待は大きいが、ハイブリッド車に不可欠の次世代電池の開発も勢いを増している。
現在、トヨタなどがハイブリッド車に使用しているのはニッケルイオン電池。一方、より小型化ができ高電圧が得られるリチウムイオン電池は、ノートパソコンなどに多く使用されている。
リチウムイオン電池については、使用条件によっては熱暴走を起こすなどの問題が指摘され、自動車への使用はこれまでなかった。しかし、ハイブリッド車の小型・高性能化に対応し、エネルギー密度の高い同電池が脚光を浴びており、トヨタも今年中に市場投入の構え。家庭用電源でも充電できるプラグインハイブリッド車は、電気自動車とともに次世代エコカーの本命とされており、実用性の高い安全なリチウムイオン電池開発に拍車がかかりそうだ。
同電池は、適正温度以上で使用された場合、電解液が膨れ、可燃ガス化しやすく熱暴走の恐れが指摘されていた。この問題に対しては、地元の研究機関で膨れを抑制し安定化させる添加剤の開発が進んでいる。さらに、充電に時間がかかるという、これまでのリチウムイオン電池などの短所を克服する電池の開発も、産学双方で進められている。
充放電が繰り返し可能な二次電池の開発は、地味な分野と捉えられがちだったが、一躍脚光を浴びてきた。ものづくりが壁にぶちあたったかに見える中部経済だが、自動車用電池という今後の巨大な市場を前に、研究者のモチベーションは高まっている。
しかし問題もある。昨今の経済不況で、開発のパートナーとなる企業側の研究開発予算や人員が削減され「思うように開発が進んでいない」という、研究者の生の声も聞かれた。
それでは将来が心配だ。わが国のものづくりの将来を左右する先端的な分野には、ヒト、モノ、カネを重点的に投入できるよう、国家的な戦略がぜひとも必要だ。
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