論説 米国の金融緩和と原油市況

更新日:2009年 3月24日 (火)

 金融システムの安定化へ米国の金融当局は強い決意を示した。米連邦準備制度理事会(FRB)は、今後六カ月で最大三千億(約二十九兆円)という前例のない規模で長期国債を買い入れる方針を決めた。日銀や英イングランド銀行も国債の買い入れ増額をきめており、主要各国が量的緩和策により景気刺激とデフレ阻止に乗り出したことになる。
 反応は国債市場のほか原油市場にも表れた。先週末のニューヨーク原油先物市場は、ドル安もあって、一バレル=五十二ドルの戻り高値をつけた。この水準は昨年十一月以来約三カ月半ぶり。高値を維持していた金とともに、原油市場にも資金が還流してきた。世界的なデフレ現象の象徴となっていた原油価格に、底打ち感が出てきたのは、金融危機がこれ以上は拡大しないのではとの安心感も手伝ってのことだろう。消費者にとって、原油価格は安くあってほしいと願うのは人情。しかし、行き過ぎた価格の下落は、国際的な金融システムの不安定を呼び、実体経済を損ない、給与のダウンや雇用不安につながる。過去半年間の国際経済の流れはまさにそうだった。したがって、今の段階の原油上昇は冷静にとらえるべきだろう。
 各国の懸命の努力にもかかわらず、経済の先行きは明るさが見えたわけではない。米FRBの国債買い入れなどで、米国経済の回復が予想より早まるのではないかとの思惑から原油市況は上昇したが、自動車販売が回復しないことには、相場は長続きしないとの見方もある。
 わが国の景気判断も一―三月は大幅に悪化している。財務省と内閣府が二十三日に発表した同期の法人企業景気予測調査によると、景況判断は大企業全産業で前期比一五・六下落し、マイナス五一・三と最悪を更新した。自動車産業の減産緩和などに期待し、先行きはマイナス幅が縮小しているものの、足元の実体悪を帳消しにするものではなく、いぜん不透明感は続いていると見るのが実情のようだ。
 現状が悪いだけに、かすかな景気回復の「芽生え」を大きくとらえたいとの人間心理はわかる。しかし、それらを過大した投資行動は「咎め」が大きいのも歴史的事実。先行きがみえない今、慎重に行動する姿勢が望まれる。

 

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