大幅減産を続けてきたトヨタの生産台数が、五月は回復する見通しとなった。日当たり生産でみると四月に比べ千七百台余増やし一万台乗せとなる。大幅な減産によって、在庫調整が進んだためだ。生産台数から見る限り、今回の自動車不況の底は二四月と予想され、最悪期は抜け出せそうだ。
為替の円安も寄与して、収益見通しを発表するたびに下方修正を繰り返した時に比べると環境には変化がみられる。ハイブリッド車の売れ行き好調も伝えられている。販売不振の流れを変えるまではいかなくとも、売れ筋の車があるのは心強い。
もちろん、足元の自動車生産は最悪の状況で、社によっては前年の半分以下のところもある。企業努力をはるかに超える生産減で、下請け、孫請けの苦境は察するに余りがある。多くの企業で週休三日になり、ワークシェアリングがなし崩し的に進んでいる。一時の収入減は甘受しても、雇用は何とか維持しようとの意識の現われだろう。
トヨタの生産が五月から回復するとはいっても、高水準だった前年同期に比べると約四割減だ。本格的な回復は、世界販売が伸びるのを待つしかない。
代表的な輸出産業である自動車の生産高はGDP統計に大きく跳ね返る。昨年十―十二月期についで、今年一―三月期の実質GDP成長率も大きなマイナスが見込まれているのは、自動車の減産が大きな要因。自動車産業は鉄鋼、ガラス、ゴムなどのほか流通、サービスに至るまで波及効果が大きいのは言うまでもない。
四六月期のGDP成長率も今のままでは楽観できない。トヨタの生産が底入れしても、その効果が関連産業に及ぶのは「時差」があるからだ。米格付け大手のS&P社は〇九年の日本の実質成長率が前年比4・0%のマイナスになると予想している。政府見通しはどうあれ、海外からはこのように見られている。それが最近の円安に微妙に反映しているのではないか。
それでも、自動車の生産が底入れするのは、全般が暗い中でほのかな好材料だ。願わくばここらで「潮目が変わった」といきたい。