2004年8月11日
存廃の瀬戸際に立つ第三セクター「桃花台線」

第三セクターの新交通システム「桃花台線(ピーチライナー)」が、存廃の瀬戸際に立たされている。経営改善のために二○○○年度から行われていた愛知県と小牧市の無利子融資が、○四年度で終わるためだ。計十億五千万円が融資されたが、運営会社の桃花台新交通(本社小牧市、社長・神田真秋知事)は赤字経営から脱却できず、○四年三月期末の累積赤字は六十一億三千五百万円に達した。県は七月二十六日に「桃花台線のあり方検討会」を開き、経営改革に大ナタをふるうことを決定。公的支援継続の是非、路線の存廃、運行システム見直しなどを検討し、今年度末に改革策を打ち出す方針だ。

桃花台線の利用客は昨年から伸びている。○三年三月に名鉄小牧線と地下鉄を直結する「上飯田連絡線」が開通して、名古屋都心への通勤・通学の利便性が良くなったことと、開通と同時に実施した最大百円の運賃値下げが利用客を呼び込んだ。一日の利用客数は○三年度は平均三千百二十二人と、前年度実績二千二百二十六人を約千人上回る。今年度も通学定期の需要増で伸び続けており、六月平均で一日三千五百九十九人と前年同期を約四百人上回っている。

だが、○三年度決算も二億六千五百万円の経常赤字だった。同社は「朝夕の通勤通学ラッシュ時は乗車率70%だが、昼間の乗客が少ないため一日平均乗車率は15%。黒字化には同乗車率30%、一日七千人が必要」(成瀬錠一常務)と指摘する。利用客は伸びているが、利益を出すまでのレベルではない、というのが桃花台線の厳しい現実だ。

同社は無利子融資を受けながら人員削減に取り組み、目標の社員数四十六人を達成した。だが現状ではさらに人件費削減が必要で、今年度中に社員十人を、万博アクセスとなる東部丘陵線(リニモ)の運営会社・第三セクター愛知高速交通(本社愛知郡長久手町、社長・愛知県知事)に転籍させる方針。

転籍者の欠員は、名古屋鉄道などの定年退職者OBを再雇用して七人補充、年度末社員は四十三人となる。「公共交通の『安全』は犠牲にできない。人員もコストダウンも限界」(成瀬常務)と厳しさをにじませる。

関係者の脳裏をよぎるのは「桃花台線・第二期計画」だ。桃花台東駅から東へ延伸し、JR中央線・高蔵寺駅と結ぶ構想で、計画は今も生きている。だが厳しい赤字経営の渦中で、具体化の可能性は見えない。

現在もマイカーなどを使って、利便性の高いJR高蔵寺駅を利用している桃花台の住民は少なくない。「第二期線が整備されていたら、桃花台線は安泰だった。愛知万博のアクセスとしても利用されたはずだ」と悔やむ本音の声は多い。

七月の検討会では「財政支援がなければ、○六年度中に資金ショート」とのシミュレーションも示された。今後は、現行四両編成の半減、コストの安いバスへの転換などの可能性が審議されるが、選択肢には「廃線」も含まれている。

 県と小牧市が七月に行った「桃花台住民アンケート」の設問にも、事実「廃止してもかまわない」の選択項目があり、その集計結果が注目されている。

同社は社内に「企画提案会議」を設置し、生き残り策を模索し続けている。病院・工場などの沿線開発が望まれるが、今のところ開発予定はない。成瀬常務は「独自の駅レンタサイクルサービスは好評。今年十月の地下鉄名城線環状化も利用客増加に貢献するはずだ。各駅を情報発信の場にするなど、地域のマイレール化を目指して、従来以上に住民に親しまれる努力を続ける」と宣言する。

高齢者ら交通弱者には公共交通は不可欠。最後の頼みの綱は、地域住民の熱烈な支援の声に違いない。

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